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土地の評価について
土地は、1筆のなかでも利用用途が異なる場合や、
2筆以上で一体化した土地利用がされている場合があります。
利用実態に即した土地の評価額を決定するには、『土地の評価単位ごとに、土地を評価する』のが前提となります。
土地の評価単位を決定するにあたっては、評価対象地を書面や図面で確認するだけでなく、現地調査で確認します。
この記事では、土地の評価額を見積もるための土地の評価単位の決定方法を事例を交えて解説します。
動画では、実務で役立つ評価単位の現場測量の様子も撮影しています。
土地の評価単位の種類
土地の評価額を算出するために、まず土地の評価単位を決定します。
決定された宅地評価単位を1画地の宅地といい、この1画地を前提として、需要地としての価格を計算します。
土地の評価単位は、以下の4つです。
- 地目単位
- 取得単位
- 利用単位
- 権利形態
それでは、順に説明します。
土地は、その土地ごとに地目(土地の種類)が定められており、下記の通りです。
①宅地 ②農地(田・畑)③山林 ④原野
⑤牧場 ⑥池沼 ⑦鉱泉地
⑧雑種地(①~⑦以外)
実務的に多いのは、8番目の雑種地です。
8の雑種地は1〜7以外で駐車場も含まれます。
取得単位とは、たとえば相続人Aと相続人Bがそれぞれこの一つの地番である100番の宅地をそれぞれ相続人Aと相続人Bで分けて取得した場合を考えてみましょう。
相続人Aが取得した宅地は、この相続人Aのところの部分の評価で相続人Bがこちらを取得するのであれば、こちらの部分の評価は別々に評価していくことになります。
利用単位とは、たとえば賃貸アパートAと賃貸アパートBが同じ100番の敷地の中にあった場合、賃貸アパートAと賃貸アパートBはそれぞれ利用用途が違うため、アパートAの敷地はAアパートの敷地で、アパートBの敷地はアパートBで別々の評価となります。
そして、権利形態とは、賃貸アパートと自宅の場合、たとえば自宅は貸家建付地評価となります。
このアパート部分の敷地は、アパートの敷地のみで評価し、自宅は自宅部分のみの需要地評価となります。
権利関係でも評価単位を分けることになります。
①2筆以上からなる場合
1画地の宅地は必ずしも1筆の宅地にあるとは限らず、2筆以上の宅地からなる場合もあります。
たとえば、上の例であれば、●●市100番と●●市101番の上に建物が立っていた場合ですが、この場合は100番と101番を一体として評価します。
②1筆を2画地以上の宅地に分ける場合
1筆の宅地が2画地に2筆以上の宅地として利用される場合もあります。
たとえば上の例では、●●市100番の敷地の上に自宅とアパートがあります。
この場合は、先ほど説明した権利形態が違うため、同じ●●市100番を自宅とアパートそれぞれに区切って評価する必要があるため、●●市100番をふたつに分けることが必要となります。
分け方は、法務局の建物配置図や役所での建築確認概況などを取得して分けるか、もしくは現地調査で測定した距離で分けるまたは座標を取得して分けます。
土地の評価単位は区画整理してるような地域では、1筆1区画の場合もありますが、実務では、1筆1区画で評価する場合は少ないでしょう。
土地の評価単位の決定方法
それでは、事例を挙げて土地の評価単位の決定方法を説明します。
今回の事例は、2筆以上の宅地からなる場合と、1筆の宅地が2画地以上の宅地になるような場合です。
1.住宅地図や航空写真で確認
今回の対象地は、公図の76.77.78.73-1ですが、住宅地図や航空写真を確認すると、北側の76.77.78の一部が駐車場となっており、78の真ん中の一部が自宅、78の南側と73-1が駐車場となっているようです。
北側の駐車場は雑種地で、78の真ん中は自宅で宅地なので、地目別の評価単位で別々に評価します。
したがって、今回の評価単位は3つに分かれます。
①北側駐車場:76の大部分、77の大部分、78の北側一部
②自宅の敷地:78の真ん中の部分と通行権である77の東側の一部+76の東側の一部
③南側の駐車場の敷地:78の南側の一部と73-1全部
補足として、北側駐車場と自宅の真ん中で割って評価単位を2つに分けると、自宅の敷地が無道路地になりますが、同一の所有者が所有しているため、幅員2mの接道義務を満たしているものとみなして評価していきます。
また、通路部分が明確に区分されている場合には、通路部分も含めて不整形地として評価しますが、通路部分が明確に区分されていない場合には、原則として幅員2mの通路部分が設置されているとみなして評価します。
今回は無道路地としては評価はしませんが、無道路地として評価する場合には、通路部分は含めない評価となります。
2.建築確認概要書や建物配置図で確認
今回の事例では、どこまでが自宅の敷地なのかの境界線がわからないため、建築確認概況書や建物配置図等を参考に道路から自宅までの距離や接道を分けようとしました。
ところが、建築確認概況書や建物配置図を見てみると、古くて実態と異なっています。
そこで、現地調査で座標を取得して距離を測定し、北側駐車場と真ん中の自宅の敷地、南側駐車場、に分けることにしました。
3.現地調査|ドロガーで座標を取得して測定
測定ポイント
現地調査の測定ポイントは、駐車場と自宅敷地の境界線を明確にするために上図の黄色の部分になります。
黄色部分は必ず座標を取得していきます。
もちろん、情報量は多い方がよいので、測定できる境界の部分の座標もできる限り取得します。
評価単位決定の際の現地の測量方法
それでは、実際に測定機器の「ドロガー」を使ってどのように現地で測定するのか手順を説明します。
ドロガーの使い方は、土地作図くん情報サイトの他の動画で詳しく解説しています。
こちらもあわせて、ご参照ください。
まず、宅地分割に必要な座標を順に取得します。
ドロガーの表示画面を見ながらFIXし、㎝単位で緯度経度を取得します。
次に、反対側の座標も取得していきます。
現地では、なるべく多くの情報を取得するため、上図の黄色部分の取得ポイント以外の座標で測定できるところも取得します。
現地を見て、実際の宅地分割をどのようにするのか考えながら、必要な座標を取得していくのがポイントです。
宅地分割の参考となる座標を取得したら、建築確認概況書や建物配置図を見て、分割点を決定します。
まとめ
土地の評価額を算出するには、土地の評価単位を決定します。
土地の評価単位は、1.地目単位、2.取得単位、3.利用単位、4.権利単位があります。
評価単位の決定は、1.住宅地図や航空写真で確認、2.建築確認概況書や建物配置図で確認、3.現場調査で測定の手順で進めます。
事前の書面や図面の調査と実際の現地の測定調査で土地の評価単位を手際良く決めていきましょう。