税理士先生の職員の方の、実務で役立つ情報を提供させていただきたいと思い動画を撮らせていただいております。
ぜひ皆様の、業務でお役立てください。
本記事とあわせて、イメージがつきやすいと思うのでぜひ動画もご覧ください。
法務局で取得できる資料の確認方法
法務局では、以下の1~6の項目を取得します。
それぞれの特徴を説明します。
登記簿(土地、建物)
まずは登記簿を取得して、登記地目、地積、所有者を確認したり、登記地目と課税地目を照合したりします。すべての評価対象地の全部事項証明書を取得します。
もし評価対象地の上に建物がある場合は、被相続人名義やそれ以外のものも含めて、すべての建物の全部事項証明書が必要です。
実務では、固定資産税の課税明細書や名寄帳と、登記簿の地目に違いがないか必ず確認します。
固定資産税の課税地目は、適正な課税を目的に定めるものです。登記地目と違い、市町村が現地調査を行った際に土地の現況に変更があれば、市町村が課税地目を変更します。固定資産税の課税地目は、必ず確認が必要です。
あと、土地を所有していないのに、建物を所有している場合があります。その場合は借地権の確認も必要です。念のため、他人名義の土地の謄本も建物の謄本も両方取得しましょう。
公図
公図は、土地の位置、隣接関係、接道、区画の確認に使用します。すべての地番が入るように公図を取得するのがポイントです。
取得する際は、評価対象地が公図の橋に来ないよう注意してください。なぜなら、臨地の確認が必要になるケースが、実務では結構あるからです。
また、評価対象地の地番の横が空白になるケースもあります。その場合は、横の公図も取得します。空白の側が道路だと思っていても、間に他人名義の土地が存在するときがありますので注意してください。
これは余談ですが、他の税理士の知人に聞いたところ、公図で陰地割合を計算している税理士もいるようです。しかし公図には、精度が高いものと高くないものがあります。確かに測量図がない場合には、公図頼みになってしまうところがあるのかもしれません。ただ、区役所の資料にも、作図の参考になるものは結構あります。陰地計算の過程で公図を利用するのはあまりお勧めしません。
公図は大きく「地図」と「地図に準ずる土地」に分けられます。
それぞれ精度が全く違います。
- 「地図」と「地図に準ずる土地」の違い
- 公図の詳細な見方
- 公図で陰地割合を計算した場合と測量図で計算いた場合の差異
- システムを使って作図した場合と手書きだった場合の陰地割合の差異
これらについては、別の記事・動画で説明する予定です。
地積測量図
評価対象地の形状や長さを確認できるのが、地積測量図です。精度も非常に高いものなので、陰地計算においては必ず地積測量図を使います。ただ、地積測量図がない場合も結構あります。
地積測量図がない場合は、どうすればよいのでしょうか。
そのような場合は、隣接するすべての地積測量図を探します。隣接する土地に地積測量図がない場合、役所での資料収集が必要です。
建物図面
建物図面からは、建物所在地の地番、建物の位置関係、形状がわかります。ただ、土地の形状や大きさについては、評価対象地の公図を使っているため、精度が高くないことも多々あります。ですから、建物配置図で土地の形状を確認することはほぼしません。
では、どのような場合に使用するのでしょうか。
例えば、1つの地番に建物が2つ以上存在する場合があります。その場合は、配置図を参考に評価部分を分けます。その際の参考資料として必要です。また、評価対象地に測量図が無い場合も取得します。
法務局で資料を取得する実務の様子
それでは、実際に法務局で資料を取得する様子を見ていきましょう。
登記簿謄本の取得
法務局の資料について、私は基本的にインターネットで取得しています。
インターネットで「登記情報提供サービス」と検索してみましょう。
法務局のサイトが表示されますので、ログインしていきます。
利用には、あらかじめIDとパスワードの登録が必要です。
ログインすると、マイページから不動産請求や商業法人請求が取得できます。法人の登記簿謄本も、こちらから取得可能です。
基本的には、不動産請求のところから取得します。
今回は土地の方から順番に作業します。
都道府県を選択し、「大阪府大阪市西区靭本町1丁目の16」を検索します。
ここから登記簿謄本や、地積測量図などを一気に取得できます。
測量図はありませんでしたので、測量図以外を請求しましょう。
画面に「取得中」と表示され、次に「請求済み」と表示されます。
必要な資料を選んで保存するとZIPファイルでダウンロードされます。
ZIPファイルを解凍してみましょう。
公図や登記簿謄本を取得できたことが確認できます。
地積測量図の取得
別の土地ですが、測量図についても触れておきます。
上の図が地積測量図です。右下に○分の○などと書いているのは縮尺です。地積測量図は、対象地の長さや形状などが細かく書かれています。これを基に陰地計算をします。
地積測量図で大事になってくるのが「いつ測量したものか」です。
最新の測量図には、緯度や経度といった座標情報が載っており、かなり正確です。しかし昔の測量図はそこまで非常に精度が高くないものもあります。ですから、いつ測量したものかを実務ではチェックしてください。
建物に関する資料の取得
土地の資料を取得できたので、次は建物の資料を取得しましょう。建物の場合は、家屋番号まで入れる必要があるので注意してください。
昭和59年とかなり古い情報ですが、取得していきます。
土地と同様、ZIPファイルで保存されます。
まずは建物の登記簿謄本です。建物の情報が入っています。
次に、こちらが建物配置図です。
少し古いので、土地に対してどのような建物が配置されているかなどの情報は、あまり参考にはならないかもしれません。しかし建物の長さなどは、こちらでも十分参考にできます。
以上が、法務局で取得できる資料の一覧と、実際の取得方法です。
このように、現在はインターネットで簡単に取得できますので、ぜひ参考にしてください。