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⑥【フルVer】公図、測量図、住宅地図でかげ地割合を計算した場合の差異の検証

こちらの記事より、分割した短編での動画となります。

イメージがつきやすいと思うので、ぜひ動画でご覧ください。

公図・測量図・住宅地図で計算したかげ地割合の違い・差異

ここからはかげ地割合を計算する上で必要となる知識を確認していきます。

実際に公図・測量図・住宅地図でかげ地割合を計算する前に、同じ地番でそれぞれの図面がどれほど異なるのか、比較していきましょう。

地図(14条第1項)、測量図、住宅地図での形状の違い

まずは地図、測量図、住宅地図を比較し、それぞれの図面でどれほど形状が異なるのかを実際にご覧ください。

ここでは測量図の代わりに「換地確定図」を使用しておりますが、換地確定図は精度の高いものなので、今回は測量図とみなして説明に使用します。

図をご覧いただいて直感的にわかる部分も多いかとは存じますが、地図は測量図を元に製作されているものですので、ある程度きれいで形状がほぼ一致しています。

一方で住宅地図については、後方の隅切り部分がないなど形状がかなり異なっていることがおわかりいただけるでしょう。
ですので、かげ地割合を計算する上では住宅地図は使用できないということも、この段階でおわかりかと思います。

結論として、かげ地割合を計算するには測量図を使用すべきです。
実際それぞれの図面でどれだけ、かげ地割合の計算に差異が発生するかは、後ほど検証します。

地図に準ずる図面、測量図、住宅地図での形状の違い

続いて、公図でも「地図に準ずる図面」と測量図、住宅地図での形状の違いも見ていきましょう。

ご覧いただいてわかるように、地図に準ずる図面は測量図と全く異なった形状をしています。
地図に準ずる図面」は位置関係を見ることには使えますが、形状を見ることに関しては使うことができません。

これら3つの図面では、測量図のみが精度が高く、地図に準ずる図面、住宅地図は実際の形状と異なるため、かげ地割合の計算をするにはあてにならないということが予想できますね。

地図、地図に準ずる図面、測量図、住宅地図でかげ地割合を計算してみると

ここまで見てきた6つの図をトリミングし、かげ地割合を計算してみます。

まずは地図と測量図、住宅地図でのかげ地割合の違いを見ていきましょう。

実際に作図・計算したかげ地割合
  • 公図(地図):13.73%
  • 測量図(換地確定図):14.99%
  • 住宅地図:1.97%

地図と測量図での差異はおよそ1%程度の差に収まりました。

「想定整形地」の項目も
地図:101.71㎡
測量図:103.21㎡
でありましたので、14条地図の場合は測量図とほぼ同じ形状として扱うことができるといえます。

(※トリミングの仕方によっても多少数字が変わってくるところだと思います)

参考までに住宅地図も見てみますが、隅地が無いなど形状の差が大きいので、かげ地割合は1.97%と大きく数字が異なる結果となりました。
この結果からも、住宅地図はかげ地割合を計算するには使えないということがわかります。

続いて、同じ「公図」でも「地図に準ずる図面」の場合と測量図、住宅地図でのかげ地割合の差を検証していきましょう。

実際に作図・計算したかげ地割合
  • 公図(地図に準ずる図面):41.52%
  • 測量図:11.74%
  • 住宅地図:17.71%

一目瞭然と言う他に無いほどの大きな差が出ました。

地図に準ずる図面と測量図でのかげ地割合の計算結果から、地図に準ずる図面はかげ地割合を計算する上では全く役に立たないということが明らかになりました。
かげ地割合を計算するために、地図に準ずる図面は決して使用しないでください。

参考までにこちらでも住宅地図を見てみますが、こちらは17.71%で地図に準ずる図面ほど大きな差は生じていないものの、形状がやはり異なりますので、かげ地割合の計算をする上では住宅地図は使用してはならないということがわかります。

まとめ:かげ地割合は地図か測量図を用いて計算すべき

これまでの検証で、「地図に準ずる図面」や「住宅地図」ではかげ地割合が不正確となってしまうことがわかりました。

かげ地割合を最も正確に計算することができるのは測量図で、14条地図でも精度区分が甲一になるべく近いものであれば、測量図に近いかげ地割合を計算することができます。

公図の種類が「地図」であればかげ地割合を計算するのに使って大丈夫かというと必ずしもそうではなく、精度についても確認する必要があるということを忘れてはいけません。

2種類ある公図について(地図・地図に準ずる図面)、そしてかげ地割合を計算する際に使用することができる図面について、理解を深めるお手伝いができていれば幸いです。