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ぜひ皆様の、業務でお役立てください。

⑥【フルVer】公図、測量図、住宅地図でかげ地割合を計算した場合の差異の検証

こちらの記事より、分割した短編での動画となります。

イメージがつきやすいと思うので、ぜひ動画でご覧ください。

2種類の公図とは(公図の基礎知識)

「公図」とは実は不動産登記法による法律用語ではなく、慣用的に使われてきた用語です。

ある地番の土地がどこに位置するかを知るために、

  • 方位
  • 各筆の区画(形状)
  • 位置関係
  • 地番

これらを記載した図面が必要となります。

こういった地番図を一般的に「公図」と呼び、公図は不動産調査における最も重要な図面です。
土地評価の際には非常に大事な書類となりますので、必ず取得します。

公図には2種類あります。

2種類の公図は「分類」を見るとわかりますが、「地図」と「地図に準ずる図面」に分かれます。

地図とは

「地図」とは大半の場合、国土調査による図面のことを指します。
要件を満たす正確な図面であれば「14条地図」として扱われますので、必ずしも国土調査による図面でなくとも「地図」として扱われる場合があります。

今回例として挙げている土地区画整理事業による図面も地図に含まれるものです。

地図は、法務局が自らの事業として作成します。

地図に準ずる図面とは

「地図に準ずる図面」とは、土地の区画を明確にした不動産登記法所定の地図が備え付けられるまでの間、地図に代わるものとして備え付けられている図面です。

土地の位置・形状の概略を記載した図面なので、形状などは正確ではなく、地図ほど精度の高いものではありません。

地図が整備されるまでの暫定的な措置として、従来からの公図が「地図に準ずる図面」として公開されています。

地図が整備されると、地図に準ずる図面は通常の公開対象から外れます。

「地図に準ずる図面」は実際の土地と形状が異なるので、例えば相続税の財産評価の土地のかげ地割合を計算するといった場合には「地図に準ずる図面」は使うことができません。

公図の見方

例として、こちらの公図を使い説明をしていきます。

公図の下部の表になっている部分をご覧ください。

それぞれ「地図」と「地図に準ずる図面」の表の部分のみを抜き出したものです。
違いが多々ありますので、見比べていきましょう。

①請求部分
「請求部分」項目には、所在や地番が記載されています。

②出力縮尺
「出力縮尺」項目では、その名の通り縮尺の記載がされています。
地図に準ずる図面の場合は精度が低いので縮尺はあてになりません。
今回の図面の場合はそもそも「縮尺不明」となっていますね。
ただ、地図に準ずる図面の場合は縮尺は600分の1のものが多いです。
地図の場合は市街地地域では250分の1や、今回のように500分の1であることが多いです。
村落・農耕地地域は500分の1または1,000分の1、山林原野地域は1,000分の1または2,500分の1が多く見られます。

③精度区分
「精度区分」項目では図面の精度がわかります。
精度区分は国土調査法施行令別表第四に定める区分で、誤差の許容範囲が異なります。
地図に準ずる図面は精度区分の定めに従って作られたものではないので記載がありません。

こちらが別表第四です。

精度区分は「甲一」から「乙三」まであり、甲一に近ければ近いほど精度が高いと判断することができます。
甲一であればほぼ測量図に近いような形状だと言えますし、乙三であれば精度が低く使えないと判断します。

実務的な目線では、甲二のものがほとんどです。

例えば土地区画整理事業などが行われると、基本的にはそれぞれの土地の形状や位置関係が非常に細かく記載されますので、そういった地域の公図では甲二となるものが多いです。

④座標系番号又は記号
「座標系番号又は記号」は平面直角座標系の記号と番号です。
公図の右上と左下に記載がありますが、実務で使うことはありません。

⑤分類
「分類」は既に見てきました通り、不動産登記法に定める「地図」か「地図に準ずる図面」かということが記載されています。
地図に準ずる図面であった場合は形状などの精度が低いので、位置関係を見るために使う程度としましょう。

⑥種類
「種類」では、何を根拠にこの公図が作成されたのかを記しています。
今回例に出している2つの公図はどちらも「土地区画整理所在図」となっておりますので、土地区画整理事業を元に作成していることがわかります。
これ以外では「法務局作成図」や「旧土地台帳付属地図」などという記載が多いです。

⑦作成年月日
「作成年月日」項目では公図の作成年月日が記載されています。

⑧備付年月日(原図)
「備付年月日(原図)」項目では公図がいつ備え付けられたかが記載されており、不明の場合は斜線となっています。
今回の場合も地図に準ずる図面の方では不明のため斜線です。

⑨補記事項
「補記事項」は何か記載があれば書いてある補足のような欄ですが、通常は斜線となっている場合がほとんどです。

作図の際に見るべき公図の項目と確認する順番

作図をする場合は①から⑨のうち、最初に「⑤分類」を確認して「地図」か「地図に準ずる図面」かを確認しましょう。

「地図」であれば「③精度区分」でどの精度なのかを確認し、次に「⑥種類」で何を根拠に地図が作成されたのかを見、その根拠図面を辿れば測量図に近いものを求めることができます。

「⑤分類」が「地図に準ずる図面」であった場合は形状は全くあてになりませんので、位置関係を確認する図面としてのみ利用してください。
ただし「⑥種類」が今回のように「土地区画整理所在図」であれば、区画整理図面は形状の精度が高い図面があるはずですので、土地区画整理図面を役所やインターネットで検索し取得するという手法が存在します。

※土地区画整理に関する図面については別動画にて解説を行っておりますので、そちらも参考にしていただければ幸いです。